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通勤電車の中にいる時間もかなり長いので、ときどきマジックを題材とした小説も読む。多くは海外ミステリー作品だが、これは日本の小説。あえて書くとすると泡坂妻夫さん以外の作品。
松岡圭祐さんの作品は「催眠」以来。図書館で宮城谷昌光さんの小説を探していたらタイトルが目に入ったので合わせて借りてみた。

ひとことで言うと、クライムファンタジーという感じ。「お金が2倍に増える」という事件を皮切りにして、その事件を担当する刑事、詐欺師、マジシャン志望の少女などが描かれる。

プロットやストーリーは特にどうということもなく、漫画的なものだが、日本のマジック界の姿などはかなりリアルに書かれていて、モデルとなっているお店なども想像がついた。作者後記によると実在のモデルもいるとのこと。このあたり、海外ミステリー作品と違って妙な生活臭のようなものが感じられた。日本におけるマジックの地位の低さについては哀感すら漂う。

それから、マジックの世界を描くときにつきものの「トリック」問題について、作者後記では次のように書かれている。
「また、本書にはマジックについて数々の現象およびトリックが登場する。」プロのマジシャンおよびマジック愛好家のかたならお判りのとおり、すべて実在するマジシャンのレパートリーである。これについてひとこと申し添えたい。
 昨今ではテレビなどで興味本位のタネ明かし番組がさかんだが、僕はこれに反対である。マジックの歴史において、観客のに驚きと楽しみをもたらすため、知恵を積み重ねてきた先人の知恵を一笑に付すことなど、誰にもできようはずがないからである。そもそもマジックがエンターテイメントとしてどうあるべきかという目的を見失ってしまった感のある現在の日本において、指標となるかたちをフィクションを織り交ぜながら本書では描写したつもりである。そのうえで現実のトリックの解説は避けて通れない道であったが、マジックの本来の楽しみをご承知であられる観客の方々の興味を削ぐような無節操なタネ明かしはできるだけ避けてまわったつもりである。」

実際、古典的なマジックの他、いくつかの売りネタの解説も書かれている。マジック愛好家の多くにはおなじみのものだろう。そんな趣味を持った人が旅行の友として電車の中で読むための軽い読み物としては楽しめるだろう。


マジシャン (小学館文庫)マジシャン (小学館文庫)
(2003/05)
松岡 圭祐

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○ WiKIPEDIAによるメンタリズム演目の代表例

 1.テレパシー
 2.透視(読心術・千里眼)
 3.宣託(予言)  
 4.プレコグニション(予知)
 5.サイコキネシス(念動)
 6.霊媒(降霊術)
 7.マインドコントロール
 8.記憶術
 9.速算術
 10. 催眠術

記憶術や即算術については、コンピューターや電卓などの普及に従って少し魅力が薄れてきたかもしれない。フーディニの時代には(降霊術)も流行していたのだが、現代の明るすぎるほどの照明(科学技術)がそれを消してしまった感もある。常時現在の演目として演じられることが多いのが読心術や予言だろうか。また、1970年代から流行りだしたメタル・ベンディング(いわゆる「スプーン曲げ」など)を入れることもある。

それから、カードマジックの中には、読心術や予言をテーマとするものも多い。その他、ダイ・バーノンのファイブカード・メンタル・フォースはマインドコントロールの一例ということもできるかも知れない。このあたりはカードマジックという媒体の表現力の豊かさを示すものだ。一方、いわゆる様々な種類の「カード当て」が流行したこともあり、「カード当て」=「読心術」というようなとらえられ方をすることもある。技法によっては、カードの種類などとは全く関係なく、単に手先の技術だけで「カード当て」をするものもあり、この場合は「読心術」とはかけ離れたものなのだが、観客にはそう見える。

メンタリスト(メンタリズムの演者)がカードマジックをすべきか否かという議論がなされたり、メンタリズムの演技の中にカード操作の技法を取り入れるべきか否かという議論がなされたりすることもある。現代のように電気じかけのギミックやコンピュータ、カメラトリックなどを取り入れた演技が成立するのであれば、これらはなんともナイーブな議論であるように感じられる。一般に言われているように「引き起こされる現象がすべて」「効果第一」ということかも知れないが、私自身の好みから言えば、一切の電気じかけのものはメンタリズムからは排除したい。テレビのリモコン操作、ラジコンの自動車、機械仕掛けのペン、プログラミングされている電気じかけのスレート(黒板)などがメンタリズムの演目の主流になるようではあまり面白くない。

「メンタリズム」を直訳すると「精神主義」。人のこころや感情の中で現象が起き、強い効果をもたらし、訴えかけるような演目であってほしい。機械やプログラムに比べると、人のこころのほうがずっとマジックだからだ。
ダレン・ブラウン(Derren Brown)のツイートを見ていたら、興味深い記事があったのでその一部を引用する。

The fact is DB doesn’t use NLP in his act despite the claims of other people, his unique combination of trickery and conjuring is deeply routed in psychology, illusion and even sleight of hand. They are mostly self taught techniques, reproduced in the interest of entertainment and illusion and have not been handed down via expensive week long courses in Florida. If your forced to question reality, confused and amazed or feel that your thought pattern has been somehow controlled and you are unaware how – then he has succeeded and that’s as far as it goes.

(訳)
他の人はそうだと言っているのだが、実際のところダレン・ブラウンは演技の中でNLPを使っていない。ただ、彼特有のトリックとマジックのコンビネーションは心理学、錯覚それにスライハンド(手練の技)にまで深く根ざしたものである。彼はほとんど独学でそれらを身に付け、エンターテイメントと幻想という興趣によって再構成している。すなわち、フロリダ(NLP講習やセミナーがよく行われている)での高価な週間コースで伝授されたものではないのだ。もしあなたが質問されたことが現実のものとなって眩惑されたり驚いたり、あるいは、自分の思考パターンがどことなくコントロールされていると感じ、それがどんな風に行われているか気付かないならば、ダレン・ブラウンはそれに成功したのであり、今までのところそのとおりなのだ。

(注) NLP:Neuro-Linguistic Programming 「神経言語プログラミング」と訳されることが多い。1970年代にリチャード・バンドラーとジョン・グリンダーによって創始された。その当時成功をおさめていたセラピストの技術などをモデル化することから始められており、その点では模倣とも言える。記事にもあるとおり、高額なセミナー、年会費などを徴収するビジネスモデルが批判されることも多い。



一つの演技の中に心理学(とくに知覚心理学の領域)とマジックとを混合して構成してみたり、テレビ番組を構成する際、純然たる心理学実験の再現、マジックと心理学とのミックス、純然たるマジックの新しい演出といった複数の要素を組み合わせることでそれが互いにミスディレクションの役割を果たしているというようにも見受けられる。


例えば、次の動画は純然たる心理学実験の再現。知覚心理学において「変化盲」と呼ばれる錯覚の実験が1998年に行われており、それを映像化したものである。



参考までに、この実験に関する記述を京都大学の論文から引用する。

実験室でなく実世界において変化盲を実証した実験もある。実験者が通りすがりの人に道を尋ねる。二人が話していると、ドアを運んでいる作業員たちが二人の間に割って入り、通り過ぎていく。このとき、会話をしていた実験者がドアの裏に隠れていた別の人と入れ替わる。しかし、この実験を被った15人の内7人は、このことに気づかず、入れ替わった後の方の人と話し続けた(Simons & Levin, 1998)。


経験の豊かさは何によって測られるべきか?--「大いなる 錯覚」を巡る議論の含意 (京都大学論文)

単なるメンタリズム、メンタル・マジックではないところが興味深い。また、純然たるスライハンド・マジック(手練の技によるもの)もDVDなどで見ることができる。このあたりが並みのメンタリストのスタイルとは違っているところ。多くのメンタリストはスライハンドを避ける傾向にあるからだ。このように、既存の基本的な原理などを活かしながら複数の要素をミックスするところがダレン・ブラウンのスタイルだと感じられる。
このブログのアクセス解析を見ていて気付いたのだが、土曜日(11月20日)のアクセス数が急激に増えている。Googleの急上昇ワードにもなぜか「メンタリズム」という言葉が出ていたのでなぜだろうと考えていたのだが、テレビの影響であるということがわかった。TBSテレビの『奇跡ゲッターブットバース!!』という番組がそれだった。

スポットライト・ジャパンの記事


「メンタリズム」という言葉自体があまり知られていなかったので新鮮に見えたのだろう。

ここで、WIKIPEDIAによるメンタリズムの定義に関する記述を引用する。

Mentalism is a performing art in which its practitioners, known as mentalists, appear to demonstrate highly developed mental or intuitive abilities. Performances may include telepathy, clairvoyance, divination, precognition, psychokinesis, mediumship, mind control, memory feats and rapid mathematics. Hypnosis may also be used as a stage tool. Mentalists are sometimes referred to as Psychic entertainers.


WIKIPEDIA記事全文


メンタリズムは、(使う人によっては、違うという人もいるのだが)メンタル・マジックとほぼ同義と考えてよいだろう。そして、メンタリズムを演じるパフォーマーのことを「メンタリスト」と呼ぶことが多い。欧米ではマジックの一分野をなしていると言っても良いが、日本では少ない。上記のテレビ番組でも紹介されていたイギリスのダレン・ブラウン(Derren Brown)はメンタリストの一例ということになる。

演目は、テレパシー、透視、予言、サイコキネシス、読心術、マインド・コントロール、記憶術、超速計算、催眠術というものの他、霊媒アクトもある。これは、メンタリズムが霊媒のテクニックを吸収しながら成立したという歴史を持っていることによる。

はじめてメンタリズムのパフォーマンスを見た人は、不思議に思い、それこそ奇跡と思うかもしれない。TBSもそれを狙いとしているようだが、あくまでもタネのあるマジックの一種である。この点は注意しておかないと、すぐ「超能力」だとか言い出すオカルト好きの人があらわれる。ダレン・ブラウンの演出が優れているのは、タネのない心理実験とメンタリズムとをうまくミックスさせて番組を構成している点ではないだろうか。彼自身もつねづね、いわゆる「超能力者バスター」「霊媒バスター」と呼ばれる行動をとっていることも付言しておきたい。

DaiGoさんがこの番組の中で演じた、メタルベンディング(スプーン曲げ、フォーク曲げが代表例)、シュードゥ・サイコメトリー(Annemanの原案による)、マインド・リーディングにしても、基本的なやり方は既に多くの出版物やDVDなどで知ることができる。基本的な原理やタネは、一般の人が知ってしまうと脱力してしまうほど簡単なものだったりすることが多い。メンタリズムで大切なのは演出と演技。日本の、しかもあのテレビ局というメディアの中で演じるということを考えれば、現時点ではまずまずの演出ではなかったかと思われる。(ご本人はもっとやってみたいことがあるのだろうけれど)

松田道弘さんの本には、メンタリズム/メンタル・マジックに関する一般的な注意事項が書かれていることが多く、とくに「自分が超能力者であると言ってはいけない。」と繰り返し述べられている。メンタリズムの現象はとても強烈なので、演者自身ににそんなつもりはなくても、周りの人が「教祖様」に祭り上げてしまうケースもあるのだ。「これは超能力ではないし、自分は超能力者ではない」という主張は、オカルトが大好きなテレビ局とは正反対の方向なので、普通のマジックとは違った注意が必要となる。

優れた演出と演技とを兼ね備えたメンタリズムのパフォーマンスは、なかなか日本の土壌では育っていない。なぜかオドロオドロしくなったり、気味の悪い方向に走ったりして、欧米の一流のメンタリスト、例えばオスタリンドやバナチェックといった人たちのDVDで見られるようなスッキリした味わいが感じられないことが多い。それが日本でメンタリズムが育たない理由であるのかもしれない。ユーモアと知性が感じられるような素敵なパフォーマンスを演じるメンタリストが日本でも活躍できる日が来ることを期待する次第。
本日読了。作者はダニエル・スタシャワー。
扶桑社ミステリーの一冊。

シャーロック・ホームズのパロディものだが、重要な登場人物としてあの伝説のマジシャン、フーディーニがこの物語に登場する。原題は’The adventure of the Ectoplasmic Man' (直訳するとエクトプラズム男の冒険。脱出アクトの名人であったフーディーニについて、「身体をエクトプラズム化して壁をすり抜ける男」という意味を持たせたタイトル。)

物語の展開、文体、シャーロック・ホームズの推理のスタイルなど、よく雰囲気がでている。また、作者はマジシャンでもあり、物語の舞台のひとつとしてロンドンのサヴォイ劇場を選び、フーディーニの「水牢からの脱出」「ミルク缶からの脱出」を再現するほか、場末の小屋でのライバルのマジシャンの霊媒アクトなども描いている。このあたりはマジック・ファンが楽しめるところ。
また、シャーロック・ホームズのファンは、会話の端々に出てくる過去の事件を想わせる部分にニヤッとすることだろう。

例によってブックオフの105円の棚で見つけ、わりとイイカゲンに選んだのだが、すいすい読み進めたし、軽いタッチで面白かった。

<参考までに>
内容(「BOOK」データベースより)
1910年、ロンドンの街は“脱出王”の異名をとるアメリカ人奇術師ハリー・フーディーニの話題で賑っていた。彼の芸を見た者たちは、この男には心霊体へ変身する超能力があると信じるほどだった。そんなある日、ホームズとワトスンのもとにフーディーニ夫人が夫の保護を依頼しにやってきた。彼が脅迫されているというのだ。が、ホームズはなぜかその依頼を断る。一方、ロンドン警視庁のレストレード警部は政府公邸の金庫室から極秘文書が盗まれた事件を捜査中だった。そしてフーディーニを犯人と睨み、彼を逮捕する。盗まれた文書は、以前皇太子からドイツの伯爵夫人にあてた手紙だった。即位直前の皇太子にとって、その手紙が公開されれば大スキャンダルとなる。捜査を開始したホームズとフーディーニの出演するサヴォイ劇場を調べるが、そこで意外な人物の死体を発見した。ホームズ・ファン待望の傑作パロディ。MWA賞候補作。


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Author:青狐レオ
催眠や心理学について研究しています。 テーマは「催眠」「心理学」「精神医学」「コミュニケーション」など。その他には、マジック、アート、インプロ、映画にも興味があります。

 

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