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<外術(げじゅつ)を以て瓜を盗み食わるること>
          ~ 今昔物語集 第二十八巻・四十話 ~ より

暑い日のことである。
男たちが数頭の馬に瓜の一杯入ったカゴを載せて運んでゆく。
頭目と見うけられる男が汗を拭きながらいう。

「暑くてかなわん。ここらで一休みしよう」

男たちは木陰に馬をひいていき、いったん荷をおろして休ませた。
馬も男たちも汗をかいている。のどが渇く。
男たちも腰を下ろして、自分たちのために持ってきた瓜を食べ始める。
口中に広がる果汁。タネを口から吹き飛ばしながらたんのうする。

と、そこにひとりの老人が杖をひきひき通りかかる。

「わしにもその瓜をひとつ恵んでもらえんじゃろうか。のどが渇いてしかたないのじゃ」

「恵んでやりたいのはやまやまだが、これは人に頼まれて運んでいるもの。
 お前さんにあげられる分はないんだ」

「情けをかけてはもらえぬのか。当世では、年寄りへのあわれみというものもなし。それではしかたない。瓜を作って食べることにしよう」

と言って、老人は男たちが吐き出したタネを集めて周りの地面に植えはじめた。

男たちはその様子をあきれて見ていたが、
不思議なことに、まもなく双葉が土の中から起き上がり、ぐんぐん伸び始め、
葉が茂り、花が咲き、とうとう見事な瓜の実がなったではないか。

男たちの目はまん丸で、口はポカンと開かれている。

そんなことをよそに、老人はつるの先から瓜をもいで食べ始める。
「瓜はこうして作って食べるのじゃ」
そして、男たちにも瓜を食べさせる。
往来を通りかかった人々にも食べさせる。
瓜のみずみずしい香気があたりに充ちる。

瓜をすっかり食べ終わると、
老人は「さあ、それでは行くか」と腰を上げ、いずことも知れず去っていった。

男たちも出発の準備をすべく、さきほど下ろしたカゴを馬に載せようとすると、
たしかにカゴはあるのだが、瓜は一つ残らず消えてしまっている。

「なんと、なんと、すっかり目くらましされていたのか」

と悔しがってもあとのまつり。
老人の行方も知れず、男たちはすっかり軽くなったカゴを馬に乗せ、
肩を落として来た道を引き返して行く。
荷こそ軽くなったが、気は重い。
あのとき老人に瓜を食べさせてやれば良かったのかと思っても、もうしかたのないことである。


このタイトルになっている「外術」だが、「幻術」とも言われる。
日本における「あやかしのわざ」ということだろう。

怪異譚として語られれば語られるほど話に尾ヒレがつくのが世のならい。
こうした「外術・幻術」の文脈で催眠が語られることも多く、
かりに「催眠」という言葉を検索語としてWEBサーチをかけてみると、
その類のアヤシゲなサイトが多くヒットするはずだ。
そうしたサイトが「空のカゴ」にしか見えないのはなぜだろうか。
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  • このエントリーのカテゴリ : 文学
このブログの中にちょっと触れているのだが、
「ダレン・ブラウン (Derren Brown)って...誰?」という人のために。

ダレン・ブラウンは、イギリスのメンタリスト。
(メンタル・マジックを専門とするマジシャン)
別名、「心を操る悪魔」 「心の魔術師」 などとも呼ばれる。
多くのメンタリストは「マインド・リーディング」「予言」などがレパートリーだが、彼はその他に「心理学」や「催眠」などを取り入れたパフォーマンスを得意としており、いくつかのTVシリーズで独自の路線を見せている。

TV番組の冒頭で、彼自身が「私のパフォーマンスは、マジック、暗示、心理学、ミスディレクションとショーマンシップで成り立っている」ということを説明している。

懐疑論者であり、イギリスで盛んな心霊術や霊媒師などとは対立している。
彼の著書、’Tricks of the Mind'ではそうした点にも多く触れているし、また、
TVスペシャル「降霊術」(2004年5月31日に放映)では、霊媒師のトリックをショーとして再現して見せている。

有名人の特徴をとらえたカリカチュアを描く画家でもあり、画集も出している。

【略歴】
 ・1971年2月27日 クロイドンで出生
    
 ・ブリストル大学で法律とドイツ語を学ぶ

 ・マジック、催眠術を学び、在学中からバーやレストランで実演

 ・1999年に、イギリスのチャンネル4というTV局で
  「マインド・コントロール」という番組が製作される

 ・「マインド・コントロール」のTVシリーズのほか、
  「トリック・オブ・マインド」
  「ロシアン・ルーレット (大部分が生中継)」
  「降霊術」
  「メサイア」
  「強奪 (ヘイスト)」
  「ザ・システム」  等が放映された。
  その内の多くはDVD化されている。

【関連リンク】

ダレン・ブラウンのオフィシャルサイト

チャンネル4のダレン・ブラウンの記事

wikipedia (英文) の記事
トランプのマークには4つの種類がある。
 (ちなみに、英語ではplayng cards、「カード」というのが普通。
  「トランプ」って本来は「切り札」の意味。
  フランク・シナトラの'Lady is a Trump'なんかの歌も思い浮かぶ。)

ダイヤ、クラブ、ハート、スペード。

これに、アリストテレスの四元素説を当てはめる解釈の仕方もある。

 <ダイヤ>  火
  
     財産、創造性、自信、変化、精神的成長を象徴

 <クラブ>  空気

     アイデア、思考、夢、コミュニケーション、超然とした態度を象徴

 <ハート>  水
  
     感情(愛、情熱、憎悪、おそれ 等)、同情、癒し、潜在意識を象徴

 <スペード> 土

     労働、職業、住宅、肉体、訓練、責任を象徴 

  象徴に意味を仮託する人間の心性をよく表しているようだ。

  なお、アリストテレスの四元素説は、錬金術のよりどころとされた。
  「賢者の石」を作り出そうとして。
  この錬金術が科学、とくに化学の源流のひとつとなったのも興味深い。
 
  トランプ(カード)を手繰りながら、
そうした歴史に思いをはせてみるのも良いだろう。
久しぶりにブログを更新する。

4月は春愁というものを感じていた。
桜の花開き 散り
ハナミズキが咲き 盛りを過ぎ
自分をとりまく社会にもいくつかの変化があった。

そして、
年々歳々花相似たり
歳々年々人同じからず
ということを思う。

そんなことを思っているうちに
とうとう4月はブログを更新しないままだった。

人同じからず。
自分自身も少しずつ変化をしている。
小学生のように身体が大きく、強くなるというものではなく、
どちらかといえば衰えていく類の変化が多いだろう。

その反面でこんなことも思う。
「発達心理学」ではここからが面白いところではないだろうか。
学生や新入社員のように型にはめられてしまうこともなく、
むしろ、型からはみだしてしまう方向となるだろう。

その方向はまだかすんで見えない。
このそこはかとない春愁のようなものかも知れない。
あるいは所在のない春宵か。

   残光の 山の辺さして かすみひき
       はるのうれひに ひたりけるかも

 

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青狐レオ

Author:青狐レオ
催眠や心理学について研究しています。 テーマは「催眠」「心理学」「精神医学」「コミュニケーション」など。その他には、マジック、アート、インプロ、映画にも興味があります。

 

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