なぜ血液型本?

少し古い話だが、昨年のベストセラー上位を占めたのが血液型本。

ただ、血液型による性格分析について、
現在の性格心理学においては、否定的な見解が主流である。

1.日本における血液型性格論は、西暦1900年ごろオーストリアに
  留学していた原復来医師によってはじめて伝えられる。
  この考え方の根本には「黄禍論」(黄色人種はわざわいの源)があった。
「白人にはA型が多く、日本人や中国人にはB型が多い。
  B型は劣等であるにもかかわらず、A型である白人の権益を
  侵害しつつある。」といった内容のもの。要は人種差別論。 
  原医師はこの論に疑問を持っていたが、
  帝国軍の軍医たちは適正診断を目的として
  積極的に研究しはじめた。

2.その後、古川竹二教授が「血液型と気質」という本を書いた。
  この本では、仕事、結婚などの場面において血液型による性格分析
  が役立つということが述べられている。しかし、この見解は当時に
  おいても迷信として批判された。さらに、戦後、血液型と性格は
  関係ないと学会でも発表されている。

3.1970年代 能見正比古による「血液型人間学」がブームとなった。
  関係書はベストセラー。(今回のブームを思わせる)
  その流れはやがて恋愛関係、相性診断といったものに適用される
  ようになった。また、一部の企業においては、人事部門で
  人員配置のさいに使用されたりもしている。
  一定の年代の人の考え方は、このブームに影響されているものと
  考えられる。
  ブームの後、血液型による性格分析は、
  再度「科学的根拠なし」として退けられる。
  しかしながら、現在でも一部の雑誌、占い等で使用される例が見られる。

お遊びとか「合コン」での最初の話題作りには良いかも知れないのだが、
一方で、戦前に外務省の嘱託医が「外交官にはO型が向いている」との
説をとなえ、そのためにO型でない外交官が辞表を出したという例も
伝えられている。
能力がありながら血液型によって望む職種につけないということが
あるとしたら、それはむしろ「差別」と言うべきでは?

また、いくらお遊びでも、人格を否定的な文脈で述べる 
(例えば、「クソ真面目で面白みのないA型」「アバウトでいい加減なO型」)
のは良くない。それよりも、その人の良いところを見出す努力を惜しまないことだろう。
人にはそれぞれ良いところがあるからだ。
それでも、どうしても血液型が使いたければ、
「快活で活動的なB型」「物事によく気が付くAB型」といったように、
肯定的な文脈で使うのが良いだろう。

科学的な根拠もなく、また、人種差別に根ざす
血液型性格論はもういい加減やめにしてほしいと思っているのだが…

テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

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